ロボットの構成はどうなっている？

簡単に言うと、ロボットは、鉄の塊をモータで振り回して動いています。
関節を6個持った形が主流です。その各関節には、アクチュエータが配置されており、関節同士はリンク（鉄の棒）で接続されています。アクチュエータとは、モータを含む駆動部分になります。

• エンコーダ・・・回転量を計測できるセンサ
• モータ・・・各関節の位置を制御する駆動源
• 減速機・・・動かすパワーを上げるギア

エンコーダは、現在20bitを超える分解能が一般的ではないでしょうか？
20bitとは2を20回かけることになり、モータ1回転1048576の変化を計測できます。
自転車のギア変速機では、ギア比を上げると、足の動きは遅くなりますが、大きなトルクで自転車を動かすことができます（トルク：回転方向の力）。同じ要領で重い鉄の塊を動かすため、大きなトルクが必要でモータにもギアを付けることになります。 ロボットコントローラは、エンコーダで各関節の位置を見ながらモータを制御し、ロボットを動かしています。工場では、一般的に、人がすべての位置と速度をあらかじめ教えて（記録して）おき、その教えた通りにロボットは動作させて使用しています。

モータ

産業用ロボットでは、ACモータを使用するのが主流です。ACモータは、ロータの周りに配置された界磁に電流を流すことで磁界を作り、ロータが引っ張られて回転します。理科の授業で聞いたことがある指を3方向に向けたフレミングの左手の法則です。流す電流を制御することによりモータを指定の速度で回転させることができます。

日本実業出版社　入門ビジュアル・テクノロジー　よくわかるモーター

ロボットコントローラは、三相200Vの交流電源を必要とします。三相交流は、位相が異なる3つの正弦波となっています。つなぐ順番は決まっています。左からU相、V相、W相でつなぎます。配線の色は、左から赤、白、黒とします。

エンコーダ

エンコーダの計測方法として、光学式と磁気式があります。
光学式では、モータの軸に接続されたスリットが入った円盤にLEDで光を通し、円盤を通した反対側にある受光素子が光の有無を検出してモータの回転量を計測します。

磁気式では、モータの軸に接続された磁石が回転すると、固定側のホール素子が磁界の変化を検知して回転量を計測します。光学式の方が精度が良いが、価格が高い。磁気式の方が組立は容易。

エンコーダには、アブソリュートエンコーダとインクリメンタルエンコーダがあります。アブソリュートエンコーダは基準点を持っており、絶対的な位置が分かります。基準点を記録するために、バッテリを付けているのが一般的です。インクリメンタルエンコーダは相対的な位置が分かります。

減速機

減速機は、モータのトルクを何十倍、何百倍にも力持ちにしてくれます。ロボットの精度を悪化させる要因になり得るものとして以下があります。

• バックラッシュ・・・ギアのかみ合わせの隙間
• クーロン摩擦・・・動き出しや低速時になめらかに動かしづらい
• 角度伝達誤差・・・動かすパワーを上げるギア

リンク

リンクは、鉄系、アルミ系、マグネシウム合金などが使われています。鉄系は強度が強いが、重いため、アームの根元の方で使用されます。アルミ系は軽いため、アームの先端側に使われます。ただ、アルミは熱膨張で伸び縮みしてしまい精度に影響します。マグネシウム合金は強度が強く、軽いが、価格が高いです。将来的に、軽くて強度があるカーボンが3Dプリンタで簡単に作れ、溶接のように簡単につなぎ合わせることができるようになると良いのですが・・・。しかも安く。 極力軽量化したいですが、薄肉にしてしまうと、たわんで精度に影響が出ます。何年も動き続けなければいけないので、ボルトの締結部や部分的に強度が弱そうな部分、ケーブルの曲げなど十分に設計検討、検証が必要となります。